世田谷区の国立成育医療研究センターにて、「第1回 子どもの傷害予防リーダー養成講座」なるものに参加してきました。
http://safekidsjapan.org/projects.html
今日からとびとびの4回、土曜日午後のオフィスを閉めさせていただく理由がこの講座参加です。
昨年12月、目黒区でおこなわれた「大切な子どもの安全を考える一日 乳幼児の事故予防と実際の手当てを学ぼう」に参加し、その時にこの講座を知って申込みました。
参加者は40名前後。こどもの医療にたずさわるお医者さんや看護師さん、保育従事者の方、消防に関わる方、ご自身のお子さんを事故で亡くされた方、こどもの事故を減らそうと活動している団体の方などが参加していました。参加者の自己紹介で「女性消防団」の〜です、という方が数名いらしたのが印象に残りました。
Wikipediaの「消防団員」の項目によると、
男性団員が災害時の活動を期待されるのに対して、女性団員は火災予防・応急手当・地域交流・消防団活動の普及啓発を主に期待されている。
なるほど、予防と普及をになっていらっしゃるんですね。
今日が初回、第1部は小児科医の山中龍宏先生による「いかに傷害を予防していくか」。
Accident(事故)ではなくInjury(傷害)
2001年、British Medical Journalは雑誌内でAccidentという言葉の使用を禁じたそうです。
http://www.bmj.com/content/322/7298/1320
たとえば交通事故や医療事故、これらは予防できたこと、予測できたこと。「予測不可能」という意味合いの「事故」ではなく「予測可能」を意味する「傷害」を使うべきだ。これが最近の欧米の考え方だそうです。日本でも、電車に乗っているときに良く耳にする「人身事故」、このとき掲示板に流れる英語字幕は「Passenger Accident」ではなく「Passenger Injury」なのだそうです。意識したことなかった・・・
日本のこども1〜19歳の死亡原因第1位は「不慮の事故」、つまり「予防できる事故」
その内訳は交通事故が30%, 窒息が25%, 溺水など水の事故が25%、転倒転落が8%、火や煙が6%でその他が6%(2009年)。
これらを日本ではすぐ、親の不注意や親の責任としてしまう。親自身も自分の責任だと感じて情報を公にせず、次の「不慮の事故」があちこちで繰り返される。でも実は、「なぜ起こったのか」を科学的に分析すれば、予防できる。それを4日間に分けて8部構成の講座で伝えていきたい、ということでした。
例えば、バスタブの高さが50cm未満であれば1歳児が乗り越えてバスタブに落ちてしまうことが科学者との研究でわかった。そのバスタブに口と鼻を覆うだけの水があれば溺水してしまう。親が四六時中目を光らせるのは不可能、ならば小さい子がいる家はバスタブは常に水を空にしておけば「予防」になる。
柵で囲まれたベビーベットに寝かせておいた子が目を離した隙に落ちた。実はベビーベットの柵に横木が渡してあり、つかまり立ちができるようになった赤ちゃんがそこに足をかければ外に落ちることが調査で判明。落ちないように目を離すな、という責任論に持ち込むのではなく、そのようなベッドは安全基準に満たないと法を変えてこそ予防に繋がる。
けがのデータをもとに公園の遊具を数年がかりで作り替えさせるに至った経緯、最近ニュースになっていた子供服のひもについて安全基準が変わった件、これらは草の根運動から数年、10年がかりで調査、研究、製品開発、政策実施、などを経て達成された、ということがわかりました。
う〜ん、一般人が事故から予防政策にまで持って行くのはちょっと気が遠くなります。一般人でもすぐにできることは、他の人が同じ事故(傷害)を起こさないよう情報をオープンにすること、だそうです。
その訴える先があまり整備されていないのが日本の現状らしいですが、ぱっと調べたところだと、例えば
国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/mimamori/kmj_mglist.html
ここにリンクが貼ってある消費者ホットライン188(いやや!)や
日本中毒情報センターの中毒110番
http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf
などでしょうか。
こういう場所がある、というのを知っておくだけで我が子のヒヤリハットが起きたときに行動に移せるかもしれません。
第2部は「火災・火傷」についてでした。
内容は近々アップいたします。