きのうの午後は院をお休みさせていただき、
同志社大学の東京オフィスでおこなわれた、
〜「新ビジネス」フォーラム 〜
「赤ちゃん学」から先制医療へ
に参加してきました。
1人目の講演者は、
同志社大学 赤ちゃん学研究センター長・教授 小西 行郎 氏
「赤ちゃんの科学 〜異分野・異業種をつなぐ赤ちゃんの世界〜」
2人目の講演者は、
同志社大学 赤ちゃん学研究センター 准教授 松田 佳尚 氏
「機能リズム障害としての自閉症スペクトラム症/障害(ASD)」
3人目の講演者は、
ソニーコンピュータサイエンス研究所 シニアリサーチャー 桜田 一洋 氏
「人生最初の1000日からはじまるヘルスケア」
おもちゃメーカーや育児グッズメーカー、製薬会社など、今後のビジネスにつなげようという会社の方々が100名近く、私みたいに赤ちゃんにかかわる人々もちらほら。
「赤ちゃん学」という研究分野があるのを初めて知りました。
類似の研究部門はかなり多くの大学にあるみたい。
今回の焦点は
1)胎児からはじまるリズム障害
2)新生児の睡眠障害
3)そこにさらに環境要因、社会要因が加わって現れるアレルギー疾患や発達障害
という基礎研究で得られたストーリーを実社会でどう活用していくか。
1)リズム障害
心臓のどきっ、どきっ、という音の間隔、
これがロボットのように正確なのは中枢神経が働いていない、
つまり、脳死の状態。
私たちは胎児の頃からちょっぴり長かったり短かったり、
ゆらぎがあるそうです。
このゆらぎが大きい子ほど環境に適応しやすい、ストレスに強い傾向がある。
他にもお母さんのお腹の中で赤ちゃんがみせる眼球運動、口をもぐもぐする口唇運動など、最初はバラバラだったリズムがしだいに心拍と同期するようになり、
そして私たちは生まれてくる。
この胎児の自律神経系が創り出すリズム、
そのリズム特性と発達の関係が注目されているようです。
2)睡眠障害
日本のこども達(3歳以下)の睡眠時間は世界最短!
Sleep Med. 2010 Mar;11(3):274-80.Mindell JA et al. Cross-cultural differences in infant and toddler sleep.
調査対象国:日本、インドネシア、韓国、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、中国、インド、フィリピン、タイ、カナダ、アメリカ、ベトナム、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド
最近は生まれてすぐの赤ちゃんに「寝ない子」「寝たままの子」など極端な例が増えているのだとか。
紫外線が危険!ということばが一人歩きしすぎて、日光浴不足の赤ちゃんが増えている。
昼間、室内は太陽の10分の1の明るさしかなく、夜は遅くまで蛍光灯で明るすぎの部屋、それが赤ちゃんの睡眠リズムを狂わす一要因。
以下、独り言・・・
ということは、あのアメリカの薄暗い室内照明は赤ちゃんに優しいかも。
留学中、アメリカの学生は薄暗い中平気で勉強したり食べたりしていたけれど、私はホームセンターで一番明るい電球を日本人仲間に教えてもらい、部屋の明かりをすべて交換しました。
海外旅行したときのホテルって暗いところ多いですよね。
というか日本が明るすぎるらしい。
3)胎内リズムのゆらぎが小さいと、うまく環境に適応できず、睡眠リズムの乱れをはじめとするホルモンや代謝の乱れに繋がり、社会に適応できなくなってアレルギー疾患や発達障害として表面化していく、
単純化しすぎかもしれないけれど、今回学んだのはこのストーリー。
遺伝要因や環境要因はひとりひとり違う、
21世紀に発展した情報処理技術、人工知能技術を活用して、
ひとりひとりに対応したケアを提供する仕組みをつくりだそう。
というまとめに向かいました。
もちろんビジネス界的にはそうなんでしょうけれど・・・
リズムの乱れは自律神経系の乱れ、
神経系を整えるのはカイロプラクターが専門とするところ、
カイロプラクターがやれることはたくさんあるな、と気持ち新たになりました。
膨大なデータ処理の結果から導き出す診断や薬で「治そう」とするより、
データ処理できないほど巧妙な
私たちひとりひとりの「からだの力」を
信じてサポートすれば、
子どもはみんな元気に育っていくのになぁ、とも感じます。
講演の先生方は皆すてきなことをおっしゃっていました。
胎教はいらない、
子どもの遊びに口を出すな、
まずは子どものリズムに合わせよう、
「病気をふせぐ」ビジネスだけでなく、「生きるのが楽しくなる」ビジネスが大切
健康のために生きる人はいない
今回はじめて耳にした胎児のリズムのゆらぎ、という興味深い研究、
これは日本から発信している新たな概念とのこと、
元研究者として、わくわくするお話を聞くことができ、
有意義な午後の一時となりました。
出逢いに感謝!